不動産の共有持分を家族信託するメリット・デメリット

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共有名義の不動産は、共有者の認知症や相続により管理や処分が困難になりやすい権利形態です。

こうした問題を解決する手段として、近年は家族信託の活用が広がっています。

ここでは、不動産の共有持分を家族信託するメリットとデメリットについて順に紹介します。

共有持分を家族信託するメリット

共有不動産は、売却や大規模修繕などの変更行為に共有者全員の同意が必要となります。

家族信託を活用することで、こうした共有特有の制約を解消できる点が大きなメリットです。

認知症リスクの回避と柔軟な管理

家族信託では、共有者全員が委託者となって受託者へ管理権限を集約することで、誰かが認知症になっても受託者の判断で管理や処分を継続できます。

共有者全員の共有持分を信託するメリットとしては、次のものが挙げられます。

 

  • 共有者の判断能力に左右されず不動産を管理・処分できる
  • 受託者1人の判断で売却や大規模修繕を進められる
  • 賃貸物件であれば賃料収入の管理が滞らない
  • 受益権の設計により利益分配を柔軟に決められる

 

成年後見制度と比べて、家族の判断で柔軟に運用できる点も大きな違いです。

相続による共有者の細分化を防止

共有者が死亡すると、その持分が複数の相続人に承継され、共有者の数が増えていく現象が起きやすくなります。

家族信託では、契約で次の受益者を指定できるため、相続発生時に持分が分散するのを防ぎ、特定の家族に集約する設計が可能です。

信託法91条に基づく受益者連続型信託を活用すれば、孫の世代までの承継を見据えた設計もできます。

将来的な共有関係の複雑化を回避できる点は、長期的な財産管理として大きな意義を持ちます。

共有持分を家族信託するデメリット

家族信託にはメリットが多い一方、設計や運用面での注意点も存在します。

共有者全員の合意と受託者選定の難しさ

共有不動産を家族信託で一括管理するには、原則として共有者全員の合意が必要です。

共有者の1人だけが自分の持分を信託することは可能ですが、一部のみが信託財産になると権利関係がいっそう複雑になります。

また、受託者には強い管理権限が集中するため、誰を受託者にするかをめぐって親族間でトラブルが生じる場合もあります。

税務上の制約と費用負担

信託財産から生じた不動産所得が赤字となった場合、信託外の不動産所得や他の所得との損益通算ができない点に注意が必要です。

さらに、信託契約書の作成、信託登記の登録免許税、司法書士報酬など、設定時に一定の費用がかかります。

信託の継続中も受託者の事務負担が発生するため、契約内容と費用対効果を慎重に検討することが望まれます。

まとめ

不動産の共有持分を家族信託することで、認知症リスクの回避や相続による共有者の細分化を防げる一方、共有者全員の合意や税務面での制約などのデメリットもあります。

共有不動産の家族信託は専門的な設計が必要となるため、信頼できる専門家への相談が現実的な選択肢です。

不動産の共有持分の家族信託でお困りの際は、司法書士法人TOTまでお気軽にご相談ください。