【司法書士が解説】住宅ローン返済中の任意整理は可能?
住宅ローンを抱えながら、クレジットカードや消費者金融などの借金が膨らみ、返済が苦しくなるケースがあります。
そのようなときに検討されるのが「任意整理」です。
今回は、住宅ローンの返済中でも任意整理が可能なのかを解説します。
任意整理とは
任意整理とは、裁判所を介さずに債権者と直接交渉し、借金の返済条件を見直す手続きです。
元金はそのままに、将来利息や遅延損害金を減額、または免除することで返済負担を軽減できます。
住宅ローン返済中でも任意整理は可能
住宅ローンを支払い中でも、他の借入について任意整理を行うこと自体は可能です。
任意整理は、整理する債務を柔軟に選べるため、住宅ローンを除外して手続きを進められます。
住宅ローンは、原則として任意整理の対象にはできません。
なぜなら、ローンを組む際に不動産に抵当権が設定されており、返済が滞ればローン会社が抵当権を行使して住宅を売却できるからです。
住宅を手放したくない場合は、住宅ローン以外の借金のみを整理の対象とする方法を選びましょう。
任意整理をする際の注意点
任意整理を検討する際には、以下のような点に注意が必要です。
- 家の資産価値に注意する
- 住宅ローンの返済は継続する必要がある
- 整理後に新たな借入やクレジットカードの作成が難しくなる
それぞれ確認していきましょう。
家の資産価値に注意する
持ち家がある方が任意整理を検討する際、その資産価値が大きな判断材料になります。
なぜなら持ち家の評価額が高いと、債権者が和解に応じない可能性があるからです。
債権者の視点に立つとわかりやすいですが、そもそも家の資産価値が高い場合、「家を売却したお金でローン残債を払って、その残りで借金を返してほしい」と考えるのが自然です。
任意整理を進めたい場合は、まず家の資産価値を調べ、住宅ローンとのバランスを客観的に把握する必要があります。
住宅ローンの返済は継続する必要がある
任意整理では、住宅ローン以外の借金などを対象とするため、当然ながら住宅ローンの返済義務はなくなりません。
もし住宅ローン自体の返済も困難な場合は、「個人再生」や「自己破産」といった法的整理を検討する必要があります。
個人再生には、一定の要件を満たすことで住宅を手放さずに借金を減額できる「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」があります。
整理後に新たな借入やクレジットカードの作成が難しくなる
任意整理を行うと、信用情報(ブラックリスト)に登録されるため、5年間は新たな借入やローンの利用が制限される可能性があります。
しかし破産のように資産を失うわけではなく、一定の収入があれば生活を立て直す手段となります。
まとめ
住宅ローン返済中でも、他の借金を任意整理の対象にできます。
ただし、住宅ローン自体を整理することはできないため、返済を継続できるかどうかの見極めが重要です。
返済が困難な場合には、任意整理以外の手続きも含め、司法書士などの専門家に相談するとよいでしょう。
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- 経歴
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奈良県出身。
大学卒業後、司法書士を目指したが、数年間は不合格が続く。
26歳のとき司法書士の資格を取得。
30歳で上京し、都内の司法書士事務所で約5年経験を積む。
平成20年リーマンショックの翌日、アイクス司法書士事務所を開業。
東京司法書士会所属第4070号
簡裁訴訟代理関係業務認定番号第801015号
※簡裁訴訟代理権とは簡易裁判所で扱う訴額が140万以下の民事訴訟に対して司法書士が当事者の訴訟代理人として出廷し交渉できる権利のことです
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